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電気化学測定法である電気化学インピーダンス分光法(EIS)についての基礎的な内容です。
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電気化学インピーダンス分光法(EIS)について(5):CPEのナイキストプロット

今回はCPE(Constant Phase Element)なる等価回路要素についてふれましょう。ナイキストプロットにおける半円は理想的な半円というよりも歪んだ(つぶれた)半円として現れることが多い。この現象はもろもろの不均一性(電極の幾何学的形状などに起因する電位や電流密度の不均一性、電極の凹凸、吸着やその被覆の程度、など表面の物理的、化学的性状の様々な不均一な分布によって生じる)に起因するとして解釈されている。このような現象を記述するのに次式で表されるCPEなるインピーダンスが使われることが多い。

ZCPE =1/(Y×jωn)

Yとnの2つのパラメータで特徴づけられ、nは  -1~ 0 ~1の値をとる。n=1ならば純キャパシタンス、n= 0なら純抵抗、n =-1ならインダクタンスです。Yはアドミッタンス(インピーダンスの逆数)に対応する。CPEのみでは図1のように実軸に対してある角度をもつ直線です。PE単独で用いられることはなく抵抗との並列回路で用いられることが多く、下図2、3に示すような、つぶれた半円として現れる。従って容量の変形したものとして解釈されることが多く、実験結果に合わせたシミュレーションを得たい時、CPEを使うのがよいのだが、実体がわかったと言うものではないことは認識していることは必要でしょう。
電気化学 測定 図1. CPEのナイキストプロット、n = 0.8

二重層容量のみで、並列の電極活物質が無いか、設定電位が活物質のレドックス電位から大きくはずれて電極反応が起こらないような場合(即ち、Rct=∞)ナイキストプロットでは実軸に垂直に立ち上がる直線になるはずです。しかし現実の電気化学系、特にポーラス電極系では実軸に垂直に立ち上がる直線を見ることはあまり無くて、何がしかの勾配を示す直線を見ることが多い。これは図1に対応すると見てもよいだろう。 このようなケースを含めて、並列に抵抗をつなぐとナイキストプロットでは、つぶれた円弧を描く。n=0.8では図2のようなプロットになる。nの値を更に小さくすると、つぶれ具合は強調される(図3)。 電気化学 測定 図2.CPE と抵抗の並列回路のナイキストプロット、n=0.8の場合  図3.CPE と抵抗の並列回路のナイキストプロット、n=0.6の場合

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