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電気化学測定に使用する作用電極の種類とその用途、選択方法についての基礎的な内容です。
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これから電気化学を始める方のための作用電極の基礎-その8:GC電極と吸着-2

カテコールをはじめとしてキノン-ハイドロキノン系の電気化学は長年、研究が続けられてきており、種々の関連分野にまたがる重要なテーマである。最近でもD.H. Evansらによる興味深い報告がある3)。その話はいずれ触れるかもしれないが、今回も炭素電極表面処理と絡めてMcCreeryらの文献から題材をとった1),2)

前回は活性炭処理後の有機溶媒洗浄により電極活性が向上することにふれたが、ピリジン洗浄も同様な効果をもつ。ピリジン洗浄したGC電極ではカテコール類の電子移動速度が増すだけでなく電極への吸着も顕著に増加する(右図、4-メチルカテコールの場合、10 µMの微量、研磨のみでは拡散波主体、ピリジン洗浄電極では吸着波主体で若干の拡散波、ピーク電位幅も減少していることに注意)。カテコールの電極への吸着が電子移動に重要な役割を担うというのが今回の主題である。その裏付けとなる実験結果は以下の2つである。1つは、カテコール類はGC電極を単分子膜で修飾すると著しい電子移動速度の低下(酸化還元ピーク電位幅が1電子可逆系に見られる60 mVより大きくなる)か、全く電子移動を観測できなくなる。これは他の外圏移動型分子種とは大きく異なる特徴である(外圏型分子では殆ど影響を受けない。受けてもせいぜい2~10倍くらいであるが、カテコールでは桁の変化、例えば1000倍とか)。例えば、トリフルオロメチルフェニル基(TFMP)を被覆したGC電極では被覆率の増加とともにドーパミン(DA)の電子移動は急激に遅くなる(中図、ピーク電位幅の急激な増加から判断されるように)。このような電子移動速度の著しい低下はメチレンブルーのような分子の吸着によっても同様に惹き起こされる。
ピリジン洗浄したGC電極

ところがキノンのようなカテコール類縁分子を吸着させた場合は、ドーパミンや4-メチルカテコールなどの吸着は妨げられるものの電子移動速度の低下は軽微である(右図)。これが2つ目の理由である。カテコール類縁体であるデュロキノンで予め単分子吸着した電極におけるドーパミンのピーク電位幅の増加(活性炭洗浄電極におけるものと比較して)は軽微である。一方、メチレンブルーを単分子吸着させたものとの相違は歴然としている(図で200 mVから卑電位の波は吸着したメチレンブルーやデュロキノンに由来)。このように、カテコールの電子移動にはカテコール自身の吸着を含めキノンの吸着が大きな役割を果たすことが窺がわれる。
ピリジン洗浄したGC電極


1) S.H. DuVall and R.L. McCreery, Anal. Chem., 71, 4594, (1999)
2) S.H. DuVall and R.L. McCreery, J. Am. Chem. Soc.,122, 6759, (2000)
3) A. Rene and D,H. Evans, J. Phys. Chem. C, 116, 14454, (2012)



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