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電気化学測定に使用する作用電極の種類とその用途、選択方法についての基礎的な内容です。
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これから電気化学を始める方のための作用電極の基礎-その3:金、白金などの金属電極-2

水系電解質中とは対照的に、白金電極は非プロトン性有機溶媒系ではプロトンの吸着脱着波や水素還元が起こらないので広い電位範囲で用いられる。しかし、水系で塩化物イオンが高濃度で含まれる系では、酸化電位を深くする場合は塩化白金酸イオンとして溶出する可能性を考えておく必要がある。
金は白金と並んでよく使われる。白金で見られるプロトンの吸着、脱着波は起こらないし、プロトンの還元による水素分子の発生に対する過電圧は白金より大きいので還元領域での電位窓は広くなる。塩化物イオンが多量に含まれ、酸化電位を深くするときの塩化金酸としての溶出についての注意は金電極でもあてはまる。チオール化合物により表面化学修飾が容易なので多方面の目的で利用されている。

白金、金とならんで多用されるカーボン電極は種類が多い。グラファイト、パイログラファイト、高配向パイログラファイト(HOPG)、ガラス状カーボン、ボロンドープダイアモンドなどがある。このうち、最もよく使われるのはガラス状カーボンである。カーボン電極については表面の解析や化学修飾法の進歩が著しく次回以降で稿を改めて詳述する予定。

水銀は常温で液体の金属であり、ガラスキャピラリーを通して水銀溜めから重力を利用して滴下させ、微小繰り返し滴下電極として使われることが多い。静止型吊り下げ電極として用いられることも多い。ポーラログラフィーである。金属イオンの還元に用いられて今日の電気化学分析法の進歩の先駆けとなった電極である。電極表面は原子スケールで滑らかで、再現性のある電極を作ることができる。水素イオンの還元に対する過電圧が大きいので、多くの重金属(Pb、Tl、In、Cd、Sn、Zn、Ni、Cu、Mn、Fe、Co、Sb、Mg、Ca、Sr、Wなど)の還元検出に利用された。酸化領域では水銀自体の酸化溶出が起こるので使うことはできない。金電極の表面に塗布してアマルガムにし、アノードストリッピングボルタンメトリによる高感度重金属分析にも用いられる。しかしながら、わが国では環境汚染の観点から、水銀の環境基準が極めて厳しく使い辛い状況ではある。

以上が、作用電極として通常の電気化学計測に使われる代表的なものであるが、特殊な目的でこれら以外を使うことはありうる。例えば、腐食の研究において、鉄電極でターフェルプロットを測定するとか、ニッケル電極やチタンニッケル合金を電極として、アルカリ性溶液中で糖質の選択的な検出に用いるとかの例は枚挙に事欠かない。要するに目的に応じて作用電極として、ふさわしい使い方であれば何でもよいということである。


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