電気化学測定

電気化学測定は、溶液中の分子種などを定量的および定性的に分析する方法であり、電位(または電流)を人為的に制御する事で得られる電流(または電圧)を測定します。 測定システムは非常にシンプルで、電圧と電流を制御するポテンショスタット(またはガルバノスタット)と、測定フィールドとして機能する電解セルで構成されています。

典型的な電気化学測定は、電気化学測定システムによって行われます。

電気化学測定システム
準備するもの:
(1) モデル2325 バイポテンショスタット
(2) ソフトウェア制御用PC
(3) SVC-3 ボルタンメトリー用セル
(4) GCEガラス状カーボン電極 6.0x3.0mm
(5) RE-1B 水系参照電極(Ag/AgCl)

オプション:
(6) RE-PV 参照電極保存ビン(10mL)
  … 参照電極の保管用
(7) セル固定台
  … サンプルバイアルの転倒防止用

このシステムは、電気化学測定装置(ポテンショスタット)、測定サンプル(2 mM フェロシアン化カリウム + 1 M 硝酸カリウム、前章で準備)、ボルタンメトリーセル、及び測定装置のセルケーブルに接続された下記3つの電極で測定系を構成します。

  • 作用電極:電位が印加される事により、目的とする電気化学反応を引き起こします。
  • 参照電極:電気化学測定システムの参照となる電位(電圧)を提供します。
  • カウンター電極:作用電極と逆方向の反応をピックアップし、回路を形成します。

測定の準備

測定サンプルである、2 mM フェロシアン化カリウム(K4[Fe(CN)6])を含む 1 M 硝酸カリウム(KNO3)溶液 をサンプルバイアルに入れます。サンプルバイアルの容量20 mLに対して、5〜15 mLの測定サンプルが必要です。その後、サンプルバイアルに SVC-3ボルタンメトリーセル のテフロンキャップを装着します。

電気化学測定システム
SVC-3ボルタンメトリーセルのテフロンキャップは、外径6.0 mmの電極3本に対応しています。各電極をテフロンキャップに挿入して先端を溶液に浸し、モデル2325 バイポテンショスタットのセルケーブルを接続します。

モデル2325からのセルケーブルの接続:
(緑)GCEガラス状カーボン電極 6.0x3.0mm
(白)RE-1B 水系参照電極(Ag/AgCl)
(赤)Ptカウンター電極 5cm
   … SVC-3 ボルタンメトリー用セル に同梱

取り扱いに関する一般的な推奨事項:

  • 参照電極から黒い保護キャップを外すときは、製品に付属の取扱説明書の指示に従い、注意して取り外してください。
  • 電極をサンプルに浸した後、電極の表面とサンプル溶液の間に気泡がないかを確認してください。 気泡があると電極内の溶液と外部の溶液間の導通が取れなくなり、測定が正しく行われません。

モデル2325 ソフトウェアパラメータ設定

ソフトウェアのインストール時にデスクトップにショートカットを作成している場合は、デスクトップのアイコンをダブルクリックして、モデル2325のソフトウェアを起動します。
モデル2325のアイコンをダブルクリックします。

電気化学測定テクニックは、サイクリックボルタンメトリーを選択します。 サイクリックボルタンメトリーは反応速度とメカニズムの定性分析を行う事ができるため、物質の酸化還元反応を調査するための最初の手法としてよく使用されます。
ビー・エー・エス製の電極のほとんどは、今回使用するサンプル溶液【2 mM フェロシアン化カリウム(K4[Fe(CN)6])+ 1 M 硝酸カリウム(KNO3)】を使用してサイクリックボルタンメトリー測定を行うことで検査されています。


サイクリックボルタンメトリー測定の準備ができました。 [測定]を押してスキャンを開始します。

サイクリックボルタモグラム

ここでは、研磨前後の電極での測定結果の比較と、推奨される保管方法について説明します。

研磨前の測定結果
1回目の測定:適切な保管がされていなかった、GCEガラス状カーボン電極 6.0x3.0mm を使用して無処理で測定を行いました。
研磨後の測定結果
2回目の測定:0.05 µm 研磨用アルミナアルミナ研磨パッド で研磨した後、同じ電極を使用して測定を行いました。
重ね書きプロット
オーバーレイプロット:赤い線は1回目(研磨前)、青い線は2回目(研磨後)のサイクリックボルタモグラムです。研磨により電極表面の状態がリフレッシュされ、拡散律速による電流ピークが定量的に得られるようになりました。

サイクリックボルタモグラムの分析

リニアスィープボルタンメトリー(LSV)は、初期電位と最終電位の間を一定のスキャン速度で電位掃引し、その際の電流応答をサンプリングします。一方、サイクリックボルタンメトリー(CV)は、LSVの最終電位に到達した後、スキャン方向を逆にして初期電位に向かって再度スキャンするサイクルを、必要に応じて繰り返す測定方法です。
最初は電極付近に酸化体であるフェリシアン化物イオン([Fe(CN)6]3-)のみが存在している状態から、電極電位を負方向に掃引すると、還元反応が起こることでフェリシアン化物イオンが減少し、還元体であるフェロシアン化物イオン([Fe(CN)6]4-)が増加します。反応がさらに進行すると、電極表面からフェリシアン化物イオンが消失します。この瞬間にフェロシアン化物イオンの濃度勾配は最大になるため、電流値も最大(Ipc)になります。その後はフェロシアン化物イオンの拡散により、電流値は徐々に減少していきます。反対方向にスイープする際も本質的に同じ現象が発生し、フェリシアン化物イオンの濃度勾配が最大になるときに電流値は最小(Ipa)になります。
サイクリックボルタモグラムの解析

またモデル2325のソフトウェアを使用したデータ分析では、スキャンレートに対するピーク電流の平方根プロットの傾きから、拡散係数を計算することができます。

一般的な作用電極の研磨と保管

一般的な作用研磨を研磨する場合は、0.05 µm 研磨用アルミナ で研磨することをお勧めします。 ただし、それでも電極表面の再生がうまくいかない場合は、1 µm 研磨用ダイヤモンド をお試しください。
電極表面に付着したアルミナ粒子を確実に除去するため、新しいアルミナ研磨パッドで研磨剤を用いずに電極を更に少し研磨します。その後、電極表面を蒸留水ですすぎ、乾燥させます。

研磨手順gif
PK-3による研磨ムービー

作用電極キャップ
作用電極の保管に推奨される方法は、先端をキャップで保護することです。これにより、電極表面が埃や傷から保護されます。

CV電極用キャップ
微小電極用キャップ

望ましくない測定結果を防ぐために、測定前に電極表面を研磨してリフレッシュすることを強くお勧めします。